調査概要・目次 |
調査テーマ |
『2019 電池関連市場実態総調査 次世代電池編』 ~全固体電池をはじめとする次世代電池・材料・応用製品市場の全貌~ |
調査ポイント |
①全固体型リチウム二次電池をはじめとする次世代電池と今後急成長が期待される応用製品市場を相関的に分析 | |
②次世代電池での採用が期待されるキーマテリアルと種類別の製造フローを調査、電解質、正極・負極活物質、バインダ、集電体、セパレータに焦点をあて、次世代電池向け材料としての展望と既存材料市場への影響を分析 | |
③日系企業、海外企業における次世代電池関連技術に対する取り組みを整理 |
調査対象 |
市場範疇 |
数値は年次ベース(1月~12月)とする。また調査対象市場範疇は、世界市場を対象とする。 |
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調査方法 |
弊社専門調査員による対象先(参入企業、関連企業など)に対する直接面接取材を基本に、一部電話ヒアリングを実施した。また、一部、アンケート調査を併用した。 |
調査期間 |
2019年5月~2019年7月 |
調査担当 |
株式会社富士経済 大阪マーケティング本部 プロジェクト |
その他注記 |
当調査資料中の構成比は端数処理の関係上、各項目の合計が必ずしも100%とならない場合がある。 | ||
当調査資料中のCAGR(年平均成長率)の算出は特に明記がない限り、対前掲年と対象年次までの値をもとに算出する。 | ||
当調査資料の数量、金額は生産出荷ベースであり、特に出典の明示がない限り、数値は取材に基づいた富士経済推定値である。 | ||
当調査資料の市場規模には、電池メーカー各社の内製分も含めている。 | ||
イオン伝導度の単位(Scm-1)は省略しているケースがある。 | ||
以下の略記を用いて表記する場合がある。 |
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日本円に対する換算為替レートは以下の年平均為替レートを適用している。 |
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用語の説明 |
■5V級正極 既存のLIBで採用される正極材料の放電電圧は3Vや4Vであるが、これを5Vまで高めることができる正極材料。当材料を用いることでLIBの放電電圧を高め、高容量化を実現できる。 |
■AD法(エアロゾルデポジション法) ガスと混合した微粒子を減圧下でノズルから噴射し、エアロゾルジェットとして基板に衝突させ、膜を形成する技術。金属、ガラス、プラスチックなどのさまざまな材質の基板上に、緻密かつ高密着強度のセラミックス膜を常温下で形成することができる。 |
■Cレート 電池の全容量を1時間で放電させるだけの電流量であり、この場合は1Cレートと表す。たとえば2,000mAhのLIBの場合、Cレートが1Cの場合、放電電流は2,000mAで放電時間は1時間。同じく0.2Cの場合、放電容量は400mA、放電時間は5時間。2Cの場合、放電電流は4,000mA、放電時間は0.5時間。 |
■FZ法(フローティングゾーン溶融法) 単結晶成長方法の一つである。るつぼを使用しないことから、るつぼ材の混入がないことや、溶融帯が局所的なため、条件を検討することで、高い揮発性を有する材料でも単結晶成長が可能となる。 |
■Liイオン伝導度 電解質中を電子の代わりにイオンが動いて電気を伝える性質をイオン伝導性と呼び、その伝えやすさを示す指標をイオン伝導度と呼ぶ。単位はS/cm(Scm-1)で、単位長さ当たりの電気抵抗の逆数[S:ジーメンス]で表される。この値が大きいほど(マイナス以下の数値が小さいほど)イオン伝導性が良いとされ、現行の有機溶媒系電解液が10-2 Scm-1程度、硫化物系固体電解質で10-4~10-2Scm-1程度とされる。 |
■Liイオン輸率 電池系内における全てのイオン種の移動において、Liイオンが移動する割合。系内を移動するイオンが全てLiイオンである場合には1となり、シングルイオン伝導とも呼ばれる。 |
■NASICON型 NASICON型結晶構造とは、M2(XO4)3(M:遷移金属、X:S、P、As、Mo、Wなど)で表される化合物であり、MO6八面体とXO4四面体が頂点を共有して3次元的に配列した構造をもつ。この構造は結晶構造中に大きな空隙、ボトルネックをもつことが多いため、LiイオンやNaイオンなどのカチオンのホスト材料になり得る。 |
■SEI Solid-Electrolyte Interphaseの略。負極表面の被膜。 |
■アニオン 負に荷電したイオン、陰イオンとも呼ばれる。 |
■アニオン移動型電池/カチオン移動型電池 カチオン移動型電池とは現行のLIBのようにLi+などのカチオンが移動して電池反応が進行する電池の総称。これに対して、アニオンが移動して電池反応が進行する電池をアニオン移動型電池と総称し、水酸化物イオン伝導性を示す水系電解液を用いる空気亜鉛二次電池などがこれに属す。 |
■アモルファス 原子配列が規則的ではなく、結晶構造ではない状態。 |
■イオン液体 液体で存在する塩のことであり、低融点溶融塩などとも呼ばれる。 |
■インターカレーション 層状構造を持つ化合物に、化学種を層間に取り込む反応のこと。 |
■エレクトロスピニング法 ポリマー溶液に高電圧を加え、直径数nmのナノファイバーを得る技術。 |
■オリビン型正極活物質 六方密充填酸素骨格を持つ結晶構造の一つ。天然のカンラン石(英名:オリビン)がこの構造をもつことからオリビンと呼ばれる。 |
■ガーネット型 一般的に、A3B2C3O12 の組成式で表され、立方晶の構造をもつ化合物。ガーネット型結晶構造を有する代表的な固体電解質のLLZでは、AサイトをLa3+、BサイトをZr4+、C サイトと格子間位置をLi+が占有する。 |
■カチオン 正に荷電したイオン、陽イオンとも呼ばれる。 |
■カチオンミキシング Liサイトへの、その他金属イオンによるサイト交換現象。電池の反応では特にNiを多く含む材料で発生し、その原因はLiイオンのイオン半径と2価のNiイオンのイオン半径とが近い値を有するためと考えられている。Li含有遷移金属酸化物(正極活物質)においてLiサイト占有率が低下するため、充放電時に吸蔵放出されるLi量が減少し容量密度の低下につながる。 |
■キセロゲル 編目構造を持ち、ゲル中の分散媒を失ったもの。 |
■クラーク数 地球の地表付近に存在する元素の割合を重量パーセントで示したもの。 |
■グラビア印刷法 表面に凸凹の彫刻加工が施されたグラビアロールを液層に浸し、グラビアロール表面の凸凹部に付着した塗工液をドクターブレードで掻き落とし凹部に液を貯め、正確に計量した塗工液を箔に転移させる湿式の薄膜塗工方式。二次電池では正極/負極シート、またはセパレータなどの製造工程で用いられる。 |
■グローブボックス 外気と遮断された状況下で作業が可能となるように、内部に手だけが入れられるよう設計された密閉容器 |
■コンバージョン系負極 遷移金属酸化物ナノサイズ微粒子とLiイオンとのコンバージョン反応を利用した負極活物質。コンバージョン反応は、低電位領域で金属酸化物が解離し、酸化Liと金属微粒子を生じる可逆的反応。多段階の酸化還元反応を経るためインターカレーション系材料に比べて大きな容量を示し、出力特性にも優れるとされる。酸化/還元時の電位差が大きく、充放電時にエネルギー損失が引き起こされるなど課題も多く、実用化には至っていない。 |
■スクリーン印刷法 必要な画線以外の目をふさいだスクリーン版の上からインクを押し込み、被印刷物にスクリーン版のパターンを印刷する方法。 |
■スピネル型正極活物質 AB2O4型の無機化合物にみられる結晶構造。 |
■スプレー熱分解法 加熱基板上に噴霧した液相から固相が析出し、薄膜が堆積されるプロセス。 |
■スルホン系電解液 スルホン溶媒を用いることで耐酸化性に優れた電解液。 |
■ゾルゲル法 金属塩溶液を加水分解させ、水酸化物もしくは水和酸化物を沈殿、その後、熱処理によって酸化物粉体を得る方法。 |
■ダイコート法 ダイヘッドから塗工液を押し出しながら基材にコーティングする方式。 |
■デンドライト(樹枝状結晶) Liイオンの還元反応により負極から金属Liが樹枝状に成長し、これがセパレータを突き破り正極と接触し、内部短絡(ショート)につながる。 |
■ドクターブレード法 全固体電池において、正極層(正極活物質+固体電解質)を作製する湿式塗工法のひとつ。 |
■ハーフセル 電解質と電極シートから構成される最低限の充放電反応を起こす電池のセル(最小単位)のこと。 |
■バイポーラ 双極とも呼ばれる。一つの集電体の表裏に正・負極電極を形成。 |
■バルク型全固体電池 微粒子を積層して得られる全固体電池のこと。 |
■ファブリケーション 製造/組み立て。 |
■プリカーサー 出発原料のこと。前駆体とも呼ばれる。 |
■フルセル 正極シート-電解質-負極シートから構成される最低限の充放電反応を起こす電池のセル(最小単位)のこと。既存のLIBでの電池のセル(最小単位)は外装材を備えたものが一般的であるが、全固体電池など研究開発段階の電池では外装材を備えていないものを電池の最小単位(セル)とすることが多い。 |
■プロトン 水素イオン。 |
■ペロブスカイト型 結晶構造の一種。固体電解質ではNASICON型、ガーネット型ともに有望な系の一つとされる。 |
■ポリアニオン 結晶構造中にXO4四面体(X = P, S, As, Mo, W,Si など)を有する化合物。酸化還元電位が高く、電気化学的安定性が高いため,ポリアニオン化合物は次世代正極活物質として注目されている。 |
■メカニカルミリング法(MM法) 金属素粉末や合金粉末をアトライターやボールミルなどによりミリング(強撹拌)し、超強加工する方法。 |
■メカニカルチャージ 通常の充電とは異なり、サービスステーションなどにおいて使用済みの電解質と新しい電極(亜鉛空気二次電池では亜鉛)を補給する。短時間充電は可能であるが、機構は複雑になる。 |
■レドックスメディエータ 酸化還元反応を仲介するもの。 |
■ロールtoロール 全固体電池では、ロール状に巻いた集電体に活物質を塗布・電極シートを作製しながら、もう一方の作製された電極シートを、張り合わせて、再びロールに巻き取る方式をいう。 |
■液系LIB 固体電解質を用いる全固体電池に対して、電解液を用いるLIBのこと。 |
■液相法 液体状態 (液相) から化合物を合成したり結晶化させたりする方法。 |
■液相加振法 液相法による合成方法のひとつ。出発原料を溶媒中に溶解し、ポット中で加振することで、前駆体を含む懸濁液(サスペンション)を得られる合成方法。 |
■可撓性(かとうせい) 弾性変形のしやすさ。 |
■空気極 金属空気二次電池における正極活物質である酸素の反応場となる電極のこと。 |
■固相法 粉末原料を混合し熱処理することにより、固相から直接的に化合物を合成させる方法。 |
■準(疑似)固体電池 固体電解質にポリマーやイオン液体を添加した電解質を用いる電池。 |
■水熱合成法 原料化合物と水の混合物を耐圧容器内で加熱、合成する方法。液相法の一種。 |
■層状岩塩型正極活物質 骨格が2次元の層状で、その層の隙間にLiイオンが存在する正極活物質。 |
■電位窓(でんいまど) 酸化や還元により分解しない電気的に安定な電位範囲のこと。 |
■導電イオン種 電池や電解質を動くイオンの種類。LIBの場合はLiイオンが導電イオン種となる。 |
■溶媒和 LIBの場合、LiイオンがLi塩と有機溶媒で構成された電解液中に放出され、Liイオンの周りを溶媒イオンが取り囲む溶媒和(ソルベーション)という現象のこと。これによりLiイオンは電解液中を移動することできる。 |
■粒界抵抗 粒界(粒子と粒子の接触界面)の抵抗。 |
■露点 空気を冷やした時に結露する温度。LIBは水分と反応することで爆発する恐れがあり、低露点(空気を極度に乾燥させた状態)での製造が必要である。 |
目 次 |
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